バスケットボール 指導業者の徹底比較調査

世論が大企業の横暴を批判する中で、企業の責任を追及する手段の一つとして、一株の株式を取得して株主となり、株主総会で会社批判を繰り広げるといった動きが現れるようになった。 また、いわゆる総会屋が横行し、株主となってスキャンダルなどを種に企業を脅迫したり、株主総会の円滑な進行を妨害したりするといったことも珍しくなくなった。
こうした状況を背景に、一九八一年の商法改正で、株式の額面が原則として五万円に引き上げられるとともに、単位株制度が導入されることになった。 極端に零細な株主に対して、総会招集通知の発送など少なからぬ管理コストを投じることは、経済合理的でないという理由が、いわば大義名分として掲げられた。

戦後五○年以上、株式市場における個人の保有割合はほぼ一貫して低下してきているのである。 この背景には、既に触れたように、銀行と企業による株式持ち合いの進展という事情があった。
株式を上場している企業自体が、率直なところ、個人株主をそれほど歓迎してこなかったという。 単位株制度とは、額面五万円未満の株式については一定数の株式を一単位とし、取引所での取引や株主総会での議決権行使の最低単位とするというものである。
立法当時は、単位株制度の定着によって単位未満株主の数が次第に減少するものと考え、将来、一単位の株式を一株に強制併合することが想定されていた。 つまり、いずれは全ての会社が五万円額面の株式制度へ移行するものと考えられていた。
当時、上場企業の多くは、株式額面を五○円としていたため、原則として一○○○株が一単位とされることになった。 単位株制度の下では、一単位の株式数を定款で別に定める(いわゆるくくり直し)ことも可能とされたが、その場合にも一単位当たりの純資産額が五万円以上となる株式数としなければならないという制約が設けられた。
また、株式分割を行う場合には、「最終ノ貸借対照表」に照らして一株当たり純資産が五万円を下回らないようにしなければならないものとされた。 これらはいずれも、株式の単位が過度に小さくなり、零細な株主が多数生じることを防止するという趣旨から設けられた制度であった。
ところが、それから二○年を経て、事態は一変する。 不良債権問題に苦しむ銀行や運用利回りの低下に悩む生命保険会社は、株式持ち合いのために取得した、いわゆる政策保有株式をこぞって放出し始めた。
こうなると、上場企業としては新たな株主を探し出さなければならない。 もちろん、親密な取引先に引き取ってもらうといった対処法も考えられるが、もっと長続きする対策として、個人投資家層の開拓が求められるようになった。
それまで敬遠されてきた零細な個人投資家が、にわかに上場企業の熱い視線を浴びるようになったのである。 一方、商法上の株式分割に関する制限が、成長性の高い新興ベンチャー企業にとっての極桔となっているという指摘もみられるようになった。
将来の成長可能性が高く評価され、株価純資産倍率が非常に大きくなっている企業の場合、株価が高くなりすぎ、一株当たり純資産額が五万円ぎりぎりとなるような株式分割を行っても、数百万円以下に株価を引き下げることができないケースがあるというのである。 しかも、急成長するベンチャー企業の場合、株式分割の基準となる「最終ノ貸借対照表」は半年以上も前の資産状況を示しているため、企業の実情に見合った株式分割を行えない。
事実、インターネット上の検索エンジンとして著名なヤフーの株価は、一時的に一億円に達した。 一億円はもちろんのこと、数百万円といった株価でも、零細な個人投資家はおいそれと投資することができないだろう。
そのため、株主数が極端に少なくなって上場廃止の危機に直面したり、市場における流動性が失われてしまうといった企業も現れた。 M証券やスターバックスコーヒージャパンのように、公開時の株価を一般の個人投資家が購入できる範囲に落ち着かせるために、株式公開前に一株一円で株主割り当て増資を行い、発行済み株式数を増加させておくという例も登場した。

そこで二○○一年六月になって、商法の株式に関する規定に大きな改正が加えられることになった。 株式分割に関する制限の撤廃と額面制度の廃止、単元株制度の創設である。
この改正は、いわゆる金庫株の導入を可能にするための自己株式取得規制の見直しと並んで、商法改正としては異例の議員立法によって実現した。 このような形がとられたのは、個人の金融資産をより積極的にリスクの伴う証券投資へと向かわせるためには、迅速な商法改正が必要との意見が強かったためである。
改正によって、株式分割やくくり直しに対する制限はほとんどなくなり、企業は自由に発行済み株式数を増加させることができるようになった。 新たに導入された単元株制度とは、それまでの単位株制度のように、一定の株式数を一単元とし、取引所での取引や議決権行使の最低単位とするものだが、一単元の株式数は定款で自由に定められ、しかも、取締役会決議で定款変更が可能という柔軟な制度改正法は、二○○一年一○月から施行された。
それに先立つ九月には、全国の証券取引所と株式店頭市場を運営する日本証券業協会が、公開企業に対して投資単位の水準を五○万円未満とするよう要請する「株式投資単位の引下げ促進に向けたアクション・プログラム」を発表した。 規制緩和を実現した法の施行を受けて、株式分割やくくり直しを機動的に行うことで、上場企業自身が積極的に投資単位を引き下げてほしいというわけである。
この要請は、株式の投資単位を引き下げることで、個人株主数が増加するという前提に立って行われた。 実際、投資単位の引き下げを行った企業に関するデータを用いた実証研究では、株主数が増加するという効果が認められている。

もっとも、上場企業の側からすれば、個人株主数の増加という現象が、常に望ましいものかどうかは疑問である。 一九八一年の商法改正で単位株制度が導入された理由は、極端に零細な株主の数が増加すると、株主管理に要するコストが上昇するというものであった。
このこと自体は、単位株制度が廃止された現在も変わっていない。 そればかりでなく、あまりに株主が分散してしまうと、個人株主が書面投票などを通じた株主権の行使をきちんと行ってくれないために、最悪の場合、株主総会が定足数を満たせずに流会するといった事態すら想定され得る。
その意味では、個人株主の数を現在以上に増やしたくないので、投資単位を引き下げないという企業があったとしても、一概に非難することもちろん、筋論から言えば、発行済み株式数の違いを無視した株価の比較や一株五円配当といった考え方には何の意味もない。 企業の実力を示すのは時価総額であり、配当政策も利益全体のバランスのとれた配分という見地から考えられるべきだろう。
とはいえ、概して重要な意思決定ほど、そうした正論よりも長年の慣行や思い込みに基づいてなされるものである。 単元株制度の導入後、新興ベンチャー企業などを中心に、大幅な株式分割が相次いで行われるなど、投資単位引き下げの動きは確かに活発化している。
しかし、市場全体の平均的な投資単位が大幅に低くない話だろう。

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